芸術の一形態「日本舞踊」の特徴と歴史
この投稿では、「日本舞踊」の特徴と歴史について掘り下げてみたいと思います。また、著名な舞踊の五大流派の特徴についてもご紹介します。日本舞踊は、伝統的な日本の踊りのことで、ごく細やかなニュアンスに至るまで考え尽くされ、形式化されてきた古来の型に則って踊る繊細な舞踏となっています。日本舞踊は、単なる民族舞踊とは異なり、舞台上で披露されるための舞踏です。日本舞踊の起源と歴史を詳しく知れば、その際立った特徴をより理解できるでしょう。
通説によれば、天岩戸の前で舞われた天宇受売命(アメノウズメノミコト)の舞が、日本舞踊の誕生だと伝承されています。しかし、この神話は現実の日本舞踊の起源ではありません。歴史的な日本の舞台芸術である「能」と「歌舞伎」が、日本舞踊に最も大きな影響を与えたと考えられています。現在の日本舞踊のほとんどは、間違いなく能の「緩やかで優美な動き」と歌舞伎の「派手で活発な動き」が織り交ぜられています。
能の影響
伝統的な日本舞踊は、700年の歴史をもつ能の、洗練された舞台芸術の手法を取り入れています。一方、現代の日本舞踊は、伝統の上に新たな技能と複雑性が蓄積された産物といえるかもしれません。さらに、能楽で使われる楽器は、日本舞踊の世界に無くてはならない存在となっています。
歌舞伎の影響
江戸時代には、日本舞踊は歌舞伎から影響を受けました。歌舞伎は古くからのしきたりにより、女性が舞台に上がって踊ることができないという問題にぶつかりました。その結果、日本舞踊は女性たちが大奥で行っていた「所作事」という舞踏劇が起源となっています。その後の明治時代には、非常に多くの舞踏の大家たちが看板を掲げて名取制度や流派を設立するようになりました。これと同時期に、日本舞踊は女性たちが美しい所作を学ぶための稽古事だ、という新たな位置付けも加わりました。
明治時代以降、日本舞踊の世界には、各流派が編み出した作法に基づく多様なイメージと振り付けが存在するようになり、独特の性格を持つようになります。近年では、およそ200以上の流派が存在しています。最も著名な日本舞踏の五大流派のいくつかについて詳しく見てみましょう。
花柳流
初代花柳壽輔によって創流された流派です。五大流派の中でも、最も門弟の多い流派です。彼は振付師として弟子入りしていた西川流から破門された後、吉原で芸妓たちに舞踏を教え、そのことから「花柳流」を名乗って創流したそうです。この流派の主な特徴は、繊細な振り付けと流派としての結束力です。
藤間流
江戸時代から歌舞伎と長い歴史を持つ流派です。そのダイナミックな振り付けと踊りは、舞台上で大変見応えがあり、それがこの流派の大きな魅力となっています。藤間流は、様々な分派に枝分かれしています。宗家勘十郎派には、歌舞伎界のベテラン役者が多く所属しています。勘十郎の門弟によって立ち上げられた勘右衛門派は、藤間流最大の分派です。